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雨煙別川 広域河川改修工事(橋梁工)
土木事業
2021.02.12
現場新着情報【第5回】
雨煙別川河川改修工事です。
前回に引き続き『鋼橋架設工』をお届けします。
今回はいよいよ地組です。
地組とは地上で完成形に組み立てを行う事です。組み上がったものを所定の位置に設置することで工程を短縮します。
まずはキャンバーを考慮した架台を設置します。
架台
続いてトレーラーで運搬した部材を降ろしていきます。
荷降ろし
仮置き
そして架台の上に仮置きします。
つぎに仮締めをしながらキャンバーの計測を行います。
キャンバー計測
仮締め
仮締めはキャンバー調整中に桁同士が外れないようにするために行います。
この状態で高さを確認しながらでキャンバー調整を行います。
キャンバー調整完了
キャンバー調整が完了した桁です。
写真でも緩やかに弧を描いているのが分かるでしょう。
橋は【第3回】で紹介した橋台で両端を支える仕組みになっています。大きな橋になると両端以外にも橋脚と呼ばれるもので中間を支えている橋もあります。
両端で支えられているため、最初から橋をまっすぐに製作してしまうとこれから施工するコンクリートや舗装の重量で中央部がたわんで下がってしまいます。
そのため橋が完成した時にまっすぐになるようにあらかじめ反りをつけておく、これをキャンバーといいます。
今回の橋も両端に比べて中央部で50cmの反りをつけるように計画されています。
キャンバー図
上は今回のキャンバー図です。赤色がキャンバーです。重量がかかるたびに沈んでいき、最終的には青の点線に落ち着く計画になっています。
キャンバー計測はこのあとも架設後、床版コンクリート打設後にも計測し計画通り沈んでいるのか確認しながら作業を行います。
キャンバー調整が終了したら本締めに移ります。
桁の締め付けはトルシア高力ボルトを使用します。トルシア高力ボルトは専用の締付機を使用し、所定の軸力がかかると先端のピンテールと呼ばれる部分が破断する仕組みとなっています。
ピンテール
破断前
破断後
違いがお判りでしょうか?
ちなみに上の写真でボルトに白いマーキングがありますが、落書きではありません。これは1次締め込みのあとにマーキングを行い、本締めをすることで共まわり(ボルトとナットが一緒にまわる事で軸力を得られない状態)を目視確認するために行ってます。
トルシア高力ボルトはピンテールが破断することによって所定の軸力を得ている事を確認する仕組みなので施工日には必ず施工前に軸力試験を行い、使用するボルトが間違いなく所定の軸力を発揮している事を確認してから締め付けを行います。
軸力試験
地組が終わると架設の前に支承と落橋防止装置の仮置きを行います。
支承とは温度による桁の伸縮や地震などの水平力に対応し、桁にかかる荷重を橋台に伝達する役目を果たします。
支承
手前側が可動支承、奥側が固定支承になります。どちらも地震時の免震機能を有するゴムが入っています。
固定支承はその名のとおり全て固定されるのであらゆる力が加わるので可動支承よりも大きく頑丈になっています。
可動支承は橋軸方向にスライド板が付いていて桁の伸縮に対応します。
橋の構造は桁(上部構造)と橋台(下部構造)が支承により点で支えられている構造です。そのため桁に地震や台風などで強い力がかかると桁が外れる可能性があります。
桁が落ちる落橋状態を防ぐために落橋防止装置を設置します。
大きな災害で橋が崩落している映像を見た事があると思いますが、桁だけ落ちている映像はあまり見た事がないと思います。落橋防止装置が効果を発揮しているからです。
今回の落橋防止装置は支承を補助し桁の動きを制限する変位拘束装置になります。
落橋防止装置
これを埋め込むことで落橋を防止します。
では支承の設置を見てみましょう。
橋台施工時に支承、落橋防止装置設置箇所は下のように箱抜きしておきます。
支承箱抜き
支承設置後に無収縮モルタルを打設するため、表面をチッピングします。
チッピング
チッピング完了
これは橋台コンクリートと無収縮モルタルを一体化するために行ってます。
それではクレーンを使って仮置きします。
支承設置
支承完了
設置完了しました。この状態で微調整しながら桁を架設していきます。
クレーンで架設を行います。吊り荷は約40tです。架設の際はみんな周囲から避難して架設作業を見守っています。
1組目
2組目
架設の際は支承を微調整しながらボルトで固定します。
ボルト固定
2組目の設置が完了すると下の写真の状態になります。
桁設置完了
中央の空いている部分はパネルで蓋をします。ジョイント部には水漏れ防止のスポンジシールを設置しています。
パネル設置
パネル設置後はジョイント部をボルトで固定していきます。
次に支承部を無収縮モルタルで固定します。
まずは清掃です。
清掃状況
ちゃんと掃除ができたか、狭すぎて目では確認できないのでカメラで確認します。
カメラ確認
きれいに清掃されてます。
清掃完了
しっかりと確認した後に型枠を設置します。
支承型枠
続いて無収縮モルタルを打設します。
無収縮モルタルは強度を確認する圧縮強度試験の供試体を採取し、流動性を確認するためのJロート試験を行ってから打設します。
モルタル試験
モルタル打設
3日後の強度を確認後に型枠を取り外し無収縮モルタルの完了となります。
無収縮モルタル完了
これで桁が完全に固定されました。
次の工程として床版コンクリートに移りますが、冬季間のコンクリート打設のため、防寒養生が必要になりますので現在は、防寒仮囲いを設置しています。
防寒仮囲い
次回は床版コンクリートをお届けします。
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